おいでやす。
ようこそ「京都の話」へご来場くださいました。 今日の話は「京都駅事情」と題しまして、京都の玄関について書こうと思います。
京都駅。 空港と港を持たない京都市にとって、正に玄関口と言えるのが1997年に改装された京都駅でしょう。 JR東海道本線・新幹線が東西から、山陰線・湖西線が北へ、奈良線が南へ。 関西空港へは「はるか」が、全国各地に高速バス、近鉄電車、京都地下鉄、様々な路線バス・・・。
京都最大のターミナルは「公共交通機関」で京都を訪れる皆さんにとっては「必ず通っていただく」玄関と言っても過言ではないと思います。
それでは、いつもの如く「ヨタ話」から、お話を始めましょうか。
豊臣秀吉。 この名前をご存じない方はいらっしゃらない筈です(よね?)。 織田信長の遺志を継いで天下統一を果たし、京都に聚楽第をたて、千利休と親しく、淀城に淀君を住まわせ、かつて自分が大仏を建立した方広寺の鐘の銘「君臣豊楽・国家安康」が元で一族が滅んだ・・・。 枚挙に暇が無い程、秀吉は京都に縁が深い事は皆様先刻ご承知の事と思います。 ちなみに私は成金趣味の秀吉が好きになれない人なんですが(どうでも良すぎ)。
この秀吉が作った「遺物の上に現在の京都駅があるらしい」と言ったら、信じるかい?(何でそんなに気安いかな・・・)
このお話をするには、秀吉が天下統一を果たした直後に「京都改造」をした話を思い出していただかなくてはなりません。 小学校でしょうか、中学校でしょうか、「御土居(おどい)」という言葉を御耳になさったことはありませんか? あるはずですよ? ない? じゃ、もう一回小学校へ編入ね♪(コラ!)
秀吉はこの「改造」で京都を要塞化することに専念しました。その中でも有名な2つの政策が「寺町」と「御土居」でした。
「寺町」は京都の東の橋にお寺ばかりを集めた「寺町通り」をつくり、東からの敵(もちろん、徳川家康を意識していたでしょう)が「聖なる壁」に悩まされている間に兵を集めたり、逃げたりしようとしたものだそうです。
一方、「御土居」は「おかまいなし」に進入してくる騎馬や大部隊を妨げるために作られた、京都を一周する長大な堀・土塁の事です。 この土塁は1591年、総延長五里二十六町(約20Km)に渡って京都の外側に溝を掘り、掘った土を盛り上げて「堀と城壁のようなもの」を作ったものだそうで、要所に口(くち:関所のこと)が設けられていたようです。
現在、「御土居」そのものは鷹ヶ峰・北山といった、京都の北部に一部だけが残っていますが、京都には「口」の付いた地名(粟田口・鞍馬口・上鳥羽口・長坂口・千代原口など)が多く、この地名は「御土居」の関所跡が多くを占めているそうです。
さて、京都駅と御土居、その関係についての皆様の御想像は如何に?
実は、現在の京都駅の「1番ホーム」が「御土居」の上に作ってあるらしいのだとか。
「らしい」と言うのは、「京都には九条まで道が有るのに、八条にある京都駅を御土居跡とするのはどうか?」と言う説もなんとなく納得できるので「判断つきかねる」と言うのが本音なのですが、皆様方に於かれましては 京都駅の1番ホームに立たれた時に「秀吉の御土居の上に立っている」と感じていただく方が、より歴史の街「京都」にいらした気分になっていただけるのではと思うのです。
では、京都駅と周辺について(と言うより、京都駅の使い方)を、ぼちぼち。
現在の京都駅ビルは1997年に完成。 明治9年の開業以来「4代目の顔」と言う事になりますが、駅の他にホテル・百貨店・専門店街・劇場・美術館・各種飲食店と、フリースペース(171段、地上15階に及ぶ大階段)・旅券事務所・地下街(ショッピング&飲食店街)・市営駐車場などで構成されており、巨大なスケールとなっています。 京土産なども事欠きません。 甘党の方でしたら、京都伊勢丹の地下に御運びいただけば、京都の和菓子屋さんが「どっ」と並んで出店されています。
私はこのビルと半径50mの地域だけで、ゆうに一日を過ごしますが(買い物とかしますからね)、初めて御越しになる方には「空中経路」から見る京都の景観をお薦めしています。 中央改札を出てからビル出口付近まで進み、右側のエスカレーターに案内が出てますので、すぐ判ると思います。 ただし、行く人はほぼ皆さん「何処まで上っていくねん?」と御思いになるでしょうけど。
景観をお楽しみになるのでしたら、京都タワーは外せません。 京都駅を一歩表に出ると(出なくても?)巨大ろうそくに展望台が付いたタワーが「どぅえ〜ん」と立っていますから、すぐにわかります。 京都人はコレを「お東さんのローソク」と呼びます。(フツーは呼ばないって←そう揶揄されたのも事実だけど。 ちなみに「お東さん」とは東本願寺のこと。)
地上120m、360度の景観がお楽しみいただけます。 が、有料です。 タワーの土台部分になっているタワーデパートは御土産に力を入れておられるようです。
駅前のバスターミナルは行き先別に停留所が20個近く(以上?)並んでいますから、前もって案内書(所)などでご確認頂いた方が無難です。 観光バス・長距離バスもここから発車しています。定期観光バスを御利用いただくと手軽に市内観光をお楽しみいただけますが、朝からのコースが10前後、昼からが1〜2、夕方からが2〜3(季節によって異なります)出てますので、こちらもご確認の上、御利用いただくのが良いかと。 タクシーを御利用でしたら御心配なく。 京都は人口一人当たりのタクシー台数が日本一ですから、わんさか並んで待っています。
あと、新幹線、空港バスで京都に来られた場合、京都駅八条口に到着される事になると思います。 これは京都駅中央改札の反対側になりますので、正面側に出られて目印を見つけられ、そこを起点にされる方が後々便利でしょう。 ただ、京阪ホテルや新都ホテルなど「京都駅八条口近く」に御宿泊の場合はめんどうですから、ホテルを起点に、観光にお出かけされる前に正面の方にお出でになるのが良いと思います。
おっと、随分長くなって来ました。 書いているとキリがないので「京都駅から10分以内の観光地は?」についても書きたかったのですが、後日にします。 とりあえず、西本願寺が有名ですよね。
観光に来られた方は何気なく通り過ぎてしまわれがちな京都駅ですが、使い方次第ではとても便利な所です。 京都に御立寄りの際には是非「駅」にも注目してやって下さい。
あ、そうだ、JRで御越しの方。 京都の一押し駅弁をご存知ですか? 「笹うなぎ」って言うんですが、もち米の上に蒲焼にしたうなぎを載せて、笹に包んだ御弁当です。 好事家の間では「絶品」とされてますが、私は未だ食べてません。 何故なら「午前11時から数量限定」だから。 もし、運良くお召し上がりになったら、感想をお聞かせ下さると有りがたいのですが・・・。