おいでやす。
ようこそ「京都の話」へご来場くださいました。 今日の話は「マルタケエビス」と題しまして、京都の「道覚え歌」をご紹介したいと思います。
京都を話題にしたホームページであれば、必ずといっていいほど話題になる「丸竹夷」の歌。 京都で観光バスに乗れば必ずガイドさんが披露してくれるのですが、もともと誰が歌いだしたかわからない「京童歌」です。
「京都らしい歌」と言えば、『♪月は朧に東山ぁ〜』とか、『♪京の 京の 大仏つぁんは天火(てんび=雷)で焼けてなぁ』なんて思い出すわけですが、祗園小唄は別として、京都に残る歌は童歌・物売りの節など町衆が元の歌が非常に多いようです。
大原女・白川女なんてご存知の方も多いと思うのですが、白川女の「は〜な〜 いりまへんかぁ〜 はないらんかなぁ〜」の独特の節は、聞けば「これぞ京雅」と思われることでしょう。 つい最近までリヤカーに花を積んで売りに来ていたおばあちゃんがいたけど、今はどうかなぁ?
・・・とっとっと。 また話が脱線してます(笑
で、京童歌はたくさんあるんですが、ことほどさように「現代の京都人」でもお世話になってる歌はありません。
京都に住んでいると、トウゼンながら京の街を歩かなくてはなりませんし、京都の地名を知らなければなりません。 でも幸い、京都は碁盤の目状に道が作られています。 目的地の正確な住所がわからなくても、アタリをつける言い方ができるのです。
京都らし〜い町名に「長刀鉾町」というのがあります。 祇園祭の「長刀鉾」がある場所ですから、京都の人なら「ああ、あのへんね♪」とおっしゃるでしょう。 が、商用で来られた方にはわかりません。
「長刀鉾町に事務所を構えてますのンえ。」・・・はて?
「四条烏丸に事務所がおすにゃワ」・・・四条通り烏丸通りの交差点の近くだ!
そこで、例の歌が登場です。
まる たけ えびす に おし おいけ
あね さん ろっかく たこ にしき
し あや ぶっ たか まつ まん ごじょう
せった ちゃらちゃら うおのたな
ろくじょう ひっちょう とおりすぎ
はっちょう こえれば とうじみち
くじょうおおじで とどめさす
この歌は、京都を東西に走る道を北から順に歌ったもの。
漢字にします。
丸 竹 夷 二 押 御池
姉 三 六角 蛸 錦
四 綾 仏 高 松 万 五条
雪駄 ちゃらちゃら 魚の棚
六条 七条 とおりすぎ
八条 こえれば 東寺道
九条大路で とどめさす
正式な通り名にします。
丸太町・竹屋町・夷川・二条・押小路・御池
姉小路・三条・六角・蛸薬師・錦小路
四条・綾小路・仏光寺・高辻・松原・万寿寺・五条
雪駄町・鍵屋町・銭屋町・魚の棚町
六条・七条
八条・東寺道
九条
おお、四条通はそんなトコに・・・てなわけです。
京都に住んでいると、何度もこの歌にはお世話になります。
(もっとも、四条がどこにあるかわからん京都人はいませんが。)
この歌の難点は、現在の京都には雪駄町通がないこと(楊梅通に改名)、鍵屋町と銭屋町を「ちゃらちゃら(音)」と省略していること、さらに銭屋町通がいたるところでブッタ切られて、方々で呼び名が変わっていること、丸太町から北と六条から南を省略しすぎてるぐらいでしょうか。(難点ありすぎ。)
現在の京都市内を迷わず歩くには、北山・北大路・紫明・鞍馬口・上立売・今出川・元誓願寺・一条・中立売・出水・下立売に続いてマルタケエビス、六条と七条の間に花屋町と正面、七条と八条の間に塩小路(京都駅の正面の通り)、九条の南にも十条・久世橋という大きな通りがあるぐらいは知っておきたいもの。(誰もそこまで求めてないから。)
もちろん、場所によっては「五辻通ってのもあるよ」とか、「一条なんてねーよ」なんて場所もあります。 あくまで河原町あたりから千本通あたりまでのお話。
祗園の「切通し・巽橋(新橋通)」のあたりは鴨川より東ですから、この歌の範疇から外れます。 清水道も新橋通も冷泉通もないのはそのためです。 同じ理由で、仁和寺街道もありません(西すぎる)。
では、南北の通りを覚える方法はないの?
ちゃんとあります、童歌に。
これ、京都銀行さんのホームページで聞けますから、ちょっとお聞きになってみては如何かしら?
てら ごこ ふや とみ やなぎ さかい
たか あい ひがし くるまやちょう
からす りょうがえ むろ ころも
しんまち かまんざ にし おがわ
あぶら さめがいで ほりかわのみず
よしや いの くろ おおみやへ
まつ ひぐらしに ちえこういん
じょうふく せんぼん さてはにしじん
これが京都を南北に走る道を東から順に歌ったもの。
漢字にします。
寺 御幸 麩屋 富 柳 堺
高 間 東 車屋町
烏 両替 室 衣
新町 釜座 西 小川
油 醒井で 堀川の水
葭屋 猪 黒 大宮へ
松 日暮に 智恵光院
浄福 千本 さては西陣
正式な通り名にします。
寺町・御幸町・麩屋町・富小路・柳馬場・堺町
高倉・間之町・東洞院・車屋町
烏丸・両替町・室町・衣棚
新町・釜座・西洞院・小川
油小路・醒ヶ井・堀川
葭屋町・猪熊・黒門・大宮
松屋町通・日暮・智恵光院
浄福寺・千本
で、「烏丸、あるある。」とわかるわけです。
この歌を覚えていると便利ですが、京都の人でもあまり覚えている人はいないのかも。 ただし、醒ヶ井通は現在ありません。 また、西陣は地名で「西陣通」はありません。
(ちなみに、烏丸がどこにあるかわからん京都人はいません。)
京都を南北に走る道も、東西の通と同様、様々な場所(御所・二条城・その他社寺など)でブッタ切られています。 それでなくても大宮通を歩いていると、いつの間にか(正確には後院通を介して)千本通を歩いていたり、南北の道同志であるはずの河原町通と寺町通の交差点に行き当たって悩むような事もありますから、これもあくまで丸太町から四条あたりまでの話。
現在の京都市内を迷わず歩くには、北白川・東大路・(花見小路・縄手)・川端・(先斗町)・木屋町・河原町・新京極に続いてテラゴコ、七本松・御前・天神・西大路・佐井・(馬代)・西小路・葛野大路・天神川ぐらいまでは知っておくと…(ドコへ行く気かな?)
折角ですから、京都の人にもわかりにくい場所で、試して見ましょう。
「京都市中京区鍛冶屋町」・・・これ、正式な住所です。
わかる人、地元の人かカナリの通です。
言い換えましょう。
「富小路二条上ル」・・・見えてきましたか?
富小路通二条通の交差点から北に行ったところ。
京都特有の場所案内に「上ル(あがる)・下ル(さがる)・西入ル・東入ル」があります。
「上ル」は北へ。 「下ル」は南へ。 「西入ル」は西へ。 「東入ル」は東へ。
では、Repeat After me.
「寺町蛸薬師下ル」
「Teramachi Takoyakushi Sagaru」
エ ク セ レ ン ト ! (なに様か?)
このとき気をつけたいのは、「寺町(南北の通)蛸薬師(東西の通)」に上ル・下ルはあっても、西入ル東入ルはありません。 京都通ぶる時には注意しましょう。
これの正確な意味は「寺町通を、蛸薬師通から、北へ行って下さい。」です。
同様に「五条西洞院東入ル」は「五条通を、西洞院通から、東へ行って下さい。」です。
案内したい場所が面している通りが先、
案内に必要な交差点を作っている通りが後。
その場所が南北の通に面しているなら「上ル」・ 「下ル」
その場所が東西の通に面しているなら「西入ル」・「東入ル」です。
Repeat After me, again.
「三条寺町西入ル」
「Sanjo Teramachi Nishi-iru」
「寺町三条下ル」
「Teramachi Snajo Sagaru」
OK、もっと通ぶって
「釜座御池下ル」
「Kamanza Oike Sagaru」
「烏丸上長者町蛤御門前 KBS京都」
「Karasuma Kamicyojamachi HamaguriGomon-mae KBS-Kyoto」
「円町は西大路丸太町」
「Enmachi ha Nishi-oji Marutamachi」
「先斗町」
「Pontocyo」
「舞子はん」
「Maiko han」
「よろしおすなぁ」
「Yoroshiosuna...」