では、「お山めぐり」に出発します。
写真は「お山めぐり(右回り)」の入口付近です。
お山めぐりと言えば思い出すのが清少納言の「枕草子」ですが、皆さんはご存知でしょうか?
清少納言が都の空気を吸っていた頃、稲荷社は山頂(一ノ峰・上社神蹟・標高233m)に本殿がありました。 現在の麓の本殿は1499年に建てられたものですから足利義政(室町幕府:1489年に慈照寺銀閣建立)の頃です。 枕草子は1001年頃の著作とされていますから、まだ山頂に本殿があった頃に清少納言は稲荷詣でに来ています。
このときの稲荷詣での様子は「うらやましげなるもの」として書かれています。
『うらやましげなるもの いささか苦しげもなく 遅れて来ると見る者どもの ただ行きに先に立ちて詣づる』 つまり、後から稲荷山に登って来た人が、スイスイと私を追い抜いて先に参拝に行くのがうらやましい・・・と。
もう少し突っ込むと、この日、清少納言は山頂の本殿に向かって息を切らして登っている途中でした。 宮中で優雅にエッセイ集など書いている身の上、さらに他の古書の筆記を見れば、清少納言は太り気味だったと言うから運動不足だったんでしょうね。
そこで小休止していたら、地元の人か稲荷詣でに慣れた人か、山道で出会った友人であろう人に、こんな事を言っているんです。 「今日は七度巡りをしようと思って来たんです。 もう3度巡りましたから、ちょうどあと半分、ゼンゼン楽勝ですよ♪」 それを聞いた清少納言が「うらやましげなるもの」を書いたというわけ。
皆さんも実際に稲荷山へ詣でて清少納言状態にならないように、日頃から歩いて移動するようにしましょうね。 そこで気の効いた歌を一首詠むなら、それも風流ですが。。。